研究課題/領域番号 |
14571559
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田原 正浩 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00294091)
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研究分担者 |
西尾 幸浩 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30303952)
武田 卓 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20301260)
田坂 慶一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50155058)
峯川 亮子 大阪大学, 医学部附属病院, 助手
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キーワード | 羊膜絨毛膜炎 / 早産 / 子宮筋 / 低分子量Gタンパク / RhoA / Rho-kinase経路 |
研究概要 |
私たちは、これまで子宮筋の収縮機構におけるRhoA/Rho-kinase経路の関与について基礎的な検討をしてきた。これまでの解析により、(1)ラット子宮筋においてRho kinase発現は非妊時に比べ妊娠時にその発現が増加すること、(2)Rho kinase阻害剤はOxytocinによるラット妊娠子宮筋の収縮を用量依存的に抑制するが、この効果は非妊娠子宮においては減弱すること、(3)ラット妊娠子宮筋においてOxytocinによるミオシン軽鎖のリン酸化は、Rho kinase阻害剤により抑制され、またOxytocinはミオシン軽鎖フォスファターゼのリン酸化を促進したが、このリン酸化はRho kinase阻害剤により抑制されることを明らかにし、これらの成果を2003年に報告した。これらの結果は、妊娠子宮筋の収縮機構にRhoA/Rho-kinase経路が深く関与していることを示唆するものである。 これらの研究経過をふまえ、現在は以下のような検討を進めている。 (1)Lipopolysaccaride(LPS)による早産マウスのモデルを用い、in vivoにおけるRho kinase阻害剤の早産抑制効果について検討する。 (2)LPSによる早産マウスのモデルにおいて、頚管成熟軟化における頚管の組織学的変化(好中球、単核球、マクロファージの頚管内への浸潤、細胞外マトリックスの分解)に対するRho kinase阻害剤の効果を検討する。 (3)羊膜絨毛膜炎部位における好中球.マクロファージのサイトカイン産生能に対するRho-kinase阻害剤の作用ついて検討し、羊膜絨毛膜炎の進行におけるRhoA/Rho-kinase経路の関与について解析する。 こられのアプローチにより、羊膜絨毛膜炎による早産において、RhoA/Rho-kinase経路の情報伝達遮断が、子宮筋の収縮抑制作用や、炎症細胞の細胞骨格/細胞運動抑制を介しての抗炎症作用により、新しい子宮収縮抑制の治療戦略となりうるかどうかについて検討を加えたい。
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