研究概要 |
卵胞が排卵した後、黄体が新生されるが、この際盛んな血管新生が起こることが知られている。この血管新生に与るのがvascular endothelial growth factor(VEGF)である。 VEGFはVEGFのレセプターVEGFR-1とVEGFR-2を介して作用する。 今回、幼若雌ラットにゴナドトロピン(PMCG-hCG)を投与し過排卵処置をし正常新生黄体を作成した。この新生黄体とPMSGを4日間連日投与する卵巣過剰刺激症候群モデルラット(OHSSラット)の卵巣を比較することによって正常黄体新生かOHSS発症かを決定付ける因子を検討した。 OHSS卵巣の特徴である血管透過性の亢進は、エヴァンスブルーの卵巣の血管透過性の亢進で確認した。 OHSS卵巣ではVEGF、VEGFR-1、VEGFR-2がともに正常黄体に比べて強発現していた。 その発現はVEGFは黄体細胞自身に、VEGFRはともに血管内皮に発現していた。 このVEGF-VEGFR系はtight junctionを破壊する事が知られている。 今回tight junctionのうちclaudin-1,2,3,4,5,7,JAM, occluding, ZO-1の発現を検討した。 結果は、occludin、claudin-5の発現がOHSSラット卵巣で有意に減少している事が判明した。 現時点では、VEGF-VEGFR系の発現の増加によるtight junction(occluding, claudin-5)の発現の減少し、その結果血管透過性が元進しOHSSが発症するものと推察された。
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