研究課題/領域番号 |
14571579
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
福島 明宗 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20208937)
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研究分担者 |
小山 理恵 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20291619)
庄子 忠宏 岩手医科大学, 医学部, 助手 (00337148)
杉山 徹 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40162903)
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キーワード | 胎児由来細胞 / 有核赤血球 / Laser scanning cytometry / Magnetic cell sorter |
研究概要 |
【目的】極微量な妊婦母体血中胎児由来細胞を臨床応用する試みが近年行われている。本研究は胎児由来有核赤血球(FNRBC)のenrichment簡素化や検出分析自動化の検討を行った。【方法】enrichmentの検討:FACSおよびMACSによる分離濃縮方法を男児由来胎盤絨毛間腔血液にて比較検討した。比重遠心分離法にて有核細胞成分を分取した後、FACSではGlycophorin Aモノクローナル抗体(GA)および抗CD71モノクローナル抗体(CD71)による二重蛍光標識を行い、FNRBCの濃縮分離を試みた。MACSでは抗CD45モノクローナル抗体(CD45)でnegative selection(CD45-)した後、再度GAによるpositive selection(GA+)を行うことでFNRBCの分離濃縮を試みた。これら分離濃縮法前後の細胞集団にFISHを行いY染色体陽性細胞数の割合を算定した。Laser Scanning Cytometry(LSC)によるFNRBC分析:FISH施行後、我々はLSCによるFNRBCの自動的定量測定を試みた。充分なるインフォームド・コンセントにより同意を得られた、過去に妊娠歴のない男児を分娩した正常妊婦24例(A群:妊娠5〜13週[n=10]、B群:妊振14週〜27週[n=6]、C群:妊娠28週〜38週[n=8])および切迫早産例(D群[n=5])の末梢血10ml中のY染色体を蛍光標識し、その陽性細胞数を肉眼およびLSCにて測定して比較検討した。【成績】比重遠心分離法後のY染色体陽性細胞数は9%であったが、FACS後では37.5%と4.2倍、MACS後では26.0%と2.9倍にenrichmentが可能。FACSではsortingに要する手間と細胞喪失などの欠点があった。LSCによる測定値と手動検鏡測定値との間には強い相関(r=0.955)を認めた。母体末梢血10ml中のY染色体陽性細胞数はA群(手動:12.9±4.5個、LSC:16.1±5.5個)、B群(手動:12.3±6.5個、LSC:12.3±6.9個)、C群(手動:4.00±1.5個、LCS:4.38±2.9個)であり各群間に有意差を認めなかった。切迫早産例のD群(手動:20.4±4.3個、LSC:20.6±4.4個)では正常例全体(手動:9.79±2.6個、LSC:11.25±3.1個)と比較してFNRBC数は増加していた。【結論】FNRBCのenrichmentに関して簡便化を考えた場合はMACSが有利であった。LSCは妊娠初期A群において手動検鏡より多数の陽性細胞が検出可能であり、FNRBC自動スクリーニング検査法としての有用性が示唆された。
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