研究分担者 |
佐藤 健二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50306825)
久慈 直昭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80169987)
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
田島 博人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30317193)
中林 章 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80306828)
|
研究概要 |
1)配偶子形成障害モデルc-kit mutantマウスにおける生殖能障害の解明: 遺伝子変異によって胚発生後の胎生期における成長過程から精巣機能が影響を及ぼされる動物の生殖機能を分析した。Spermatogoniaの分化に関与する受容体型チロシンキナーゼレセプターc-kitのmutantマウスを用いて11週齢マウスWBB6F1(wild type)+/+,78個のアミノ酸の欠落があるhetero W/+,アミノ酸の点突然変異をもつhetero W^v/+,機能喪失性,突然変異遺伝子を2個持つW/W^vを使用した。各マウスより精巣細胞を分離し,抗マウスc-kit抗体(CD117)と反応させ,flow cytometryでc-kit陽性細胞率を解析した。また,精巣組織の組織学的検討,c-kit遺伝子発現についても検討した。この結果,W/W^vにおいて精巣重量の減少,精巣組織におけるspermatogenesisの著しい障害,免疫組織化学におけるc-kit発現の抑制RT-PCRによるc-kit mRNA発現の障害が確認された。 2)外因性配偶子形成障害モデルマウス作製とその障害機構の解明: 外因性の影響因子による配偶子形成障害モデルマウスを作製するために8週齢より12週間の少量doxorubicinの連続投与を行い,生殖能障害のメカニズムとその障害抑制の可能性について検討した。精巣重量はdoxorubicin投与により減少し,組織学的にはspermatogonia以降における減数分裂障害が認められた。免疫組織化学におけるc-kit発現の減少およびRT-PCR法によるc-kit mRNA発現の減少が証明され,c-kit遺伝子発現の抑制による分化障害機構が示唆された。Apoptosisの検討では,meiosisの早期過程におけるapoptosisの増加が認められ,同時にtelomerase活性を検出すると活性の増強が検出された。従って,toxic agentによる配偶子形成障害は,telomerase活性が増強し,障害機構に対抗して反応するが,結果としてapoptosisが生じ,c-kit mRNA発現の障害を介してmeitosisの抑制を生じることが示唆された。
|