子宮頸癌の99.7%にHPV(Human Papillomavirus)DNAが検出され、頸癌の発癌にHPVが密接に関連している。HPV陽性子宮頸癌細胞ではHPVウイルス蛋白E6/E7が常に発現しているためE7ペプチドを癌抗原として特異的癌免疫療法に応用できる可能性があるが、かならずしもうまく誘導できていない。我々はこれまでヒト健常者の自己樹状細胞(DC)とE7ペプチドを利用することによりCTLが誘導できることを発表してきた。しかし進行子宮頸癌患者においても健常者同様の反応を示すかは不明である。そこで健常者と子宮頸癌患者から採血を行ない複数のE7ペプチドによる特異的CTLの誘導ができるかを検討した。子宮頸部細胞診陰性の健常者および子宮頸癌患者よりインフォームドコンセントを得て採血を行ない、Sallustoの方法に従って自己樹状細胞を得た。Biomagnetic separation beadsを用いて選択的にCD8陽性細胞を採取した。DCにHPV-16E7ペプチドで刺激後CD8陽性T細胞とともに培養した。IL-2を3日間毎投与し、このDCで2回CD8陽性T細胞を刺激した。CTLの特異性はT2細胞をTargetとしたCytokine Release Assayで判定した。E7ペプチドと自己樹状細胞を使用して健常者および子宮頸癌患者の両者において特異的CTLを誘導できることが判明した。コントロールのM1における反応は健常者および子宮頸癌患者にかかわらず全例反応したが、E7ペプチドの反応は年齢や子宮頸癌臨床進行期に関連せず個人により変動が大きかった。健常者と子宮頸癌患者の両者に特異的CTLを誘導できることが判明したが臨床応用にはさらなる研究が必要である。
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