研究課題/領域番号 |
14571588
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
澤 倫太郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (30267174)
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研究分担者 |
米山 芳雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (00201096)
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キーワード | アデノシン / 胎児心筋 / ハイバーネーション / 5'-nucleotiduse / adenosine deaminase |
研究概要 |
成人の冠動脈疾患においては、冠血流量が低下しても心筋は酸素供給に見合うように心機能を低下させ、虚血代謝変化を生じさせない代償機能が作動する。この状態は心筋ハイバネーションとして知られ、様々なスペクトルの虚血状態を含む可逆的な平衡状態とされる。最近、この心筋ハイバネーションの調節因子としてアデノシンの役割が注目を集めている。胎児心筋組織中のアデノシン活性は成人と比較して極めて高く、胎児や新生児心筋で冠動脈閉塞に起因する心筋梗塞がほとんどみられない現象と関与していると考えられるが、その制御機構は明らかではない。本年度は、ウサギ胎仔慢性実験モデルおよびヒト妊娠中毒症を対象とし胎児心筋におけるハイバネーション発現機構に関して以下研究実績を得た。 1)胎児心筋ハイバネーション発現機槽におけるアデノシンの役割 胎児虚血・再還流ストレスにおける心房、心室組織および血中のアデノシン濃度、5'ヌクレオチダーゼおよびアデノシンデアミナーゼ活性を測定した結果、血中のアデノシン濃度、5'ヌクレオチダーゼは増加、アデノシンデアミナーゼ活性は減少し、アデノシンの効果を増強する作用が見られた。また、胎児心機能はアデノシンの上昇とともに抑制され、この作用はアデノシン拮抗薬で消失することが明らかになった。 2)妊娠中毒症におけるアデノシンの役割 胎児虚血・再還流ストレスが見られる妊娠中毒症において、1)と同様の測定因子を測定した結果、すべての測定因子が上昇し、アデノシンの効果を増強するとともにアデノシンの過度の上昇を抑制する調節機構が存在することが明らかになった。以上より、胎児は胎内でストレスが生じた場合、胎児心筋は酸素供給に見合うように心機能を低下させる心筋ハイバネーションが生じ、調節機構にアデノシンが関与することが示唆された。
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