研究課題/領域番号 |
14571595
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
杉山 徹 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40162903)
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研究分担者 |
庄子 忠宏 岩手医科大学, 医学部, 助手 (00337148)
吉崎 陽 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40200969)
井筒 俊彦 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (00103739)
大田 俊一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (40289476)
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キーワード | Ovarian Cancer / tamoxifen / cell cycle / apoptosis / rat / estrogen receptor |
研究概要 |
(目的)ホルモンレセプターを有さないDMBA誘発ラット卵巣癌を用いて抗エストロゲン剤であるtamoxifen(TAM)の抗腫瘍効果について検討した。(方法)Wistar系雌ラット原発卵巣癌を同系幼若ラットの背部皮下移植腫瘍を用いてTAM投与実験を行なった。腫瘍体積が約100mm3に達した担癌ラット27匹を3群に分けた。対照群、TAM1.0mg/kg投与群、TAM2.0mg/kg投与群それぞれ9匹づつに振り分けた。14日間連日投与(対照群はオイルのみ)を行い、1週ごとに腫瘍径を測定し、15日目にと殺して腫瘍を摘出した(-80度で凍結保存)。1)腫瘍増殖率、2)Laser Scanning Cytometerによる核DNA量分析、3)TUNEL法にて各細胞周期に占めるapoptosis細胞の比率を比較検討した。(結果)現時点で対照群と2mg/kg投与群でのデータの解析が完了した。1)腫瘍増殖率は、対照群39.4±10.3%、投与群38.4±18.1%と有意な差は認めなかった。2)核DNA量は、対照群のG0+G1期細胞は47.2±6.6%、G2+M期細胞は10.6±3.4%、S期細胞は42.2±5.6%に対し、投与群ではG0+G1期細胞は57.9±7.5%、G2+M期細胞は10.7±4.0%、S期細胞は31.4±7.5%であり、TAM投与によりG0+G1期細胞比率が上昇し、S期細胞比率が低下することが観察された。3)各細胞周期に占めるapoptosis細胞の比率は対照群の2.1±0.7%に比較して投与群では9.0±1.5%と有意に増加していた(p<0.05)。(考察)本研究は、TAMがS期のDNA合成を抑制し、細胞周期をG0+G1期で停止させ、growth fractionの低下を促進し、さらにアポトーシスを誘導することを明らかにした。以上、卵巣癌に対し、TAMはホルモンレセプターを介さない経路で抗腫瘍効果を発揮することをin vivoで示し、臨床的にSalvage therapyとして有用であることが示唆された。
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