研究概要 |
1.本研究では子宮癌肉腫におけるVEGFファミリーとアンジオポエチン(Ang)ファミリーの発現を分子レベルで解明し,子宮内膜癌と比較した.悪性度の最も高い腫瘍である子宮癌肉腫は,子宮内膜癌と比較してVEGF-A mRNA発現が有意に高度であったが、VEGF-B, VEGF-C, VEGF-Dの発現には有意な違いはなかった.Real-time RT-PCR法によるmRNAの定量的評価においてもin situ hybridizationとほぼ同様の結果であった 2.次に、平成15年度に引き続き,我々が樹立に保有する希少な子宮癌肉腫株に対する血管新生抑制療法の第二次実験を行った。薬剤はc-Jun N-terminal kinase (JNK)の阻害薬JNK-Iと血管新生阻害剤であるTNP-470を併用した.その結果,1)JNK-1はFU-MMT-1が引き起こした管腔形成を抑制した.2)TNP-470はFU-MMT-1によるVEGF産生を阻害し管腔形成を濃度依存性に抑制したが,抗MMP活性は認めなかった.3)JNK-IはVEGF産生を抑制しなかったが,MMP-2とMMP-9を不活性化した.4)両薬剤を併用投与した結果,低濃度でも内皮細胞の増殖を抑制した.5)薬剤は共にFU-MMT-1細胞に対する増殖阻害効果を示した.
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