研究成果 当科で手術を施行した乾燥性鼓膜穿孔患者4例を対象として、全身麻酔導入後の中耳圧変化を計測した。通常の気管内挿管、GO-セボフルレン(Fi02:0.4)による全身麻酔導入後、バイタルサインが安定していることを確認した後、患側外耳道にイヤーカフを挿入、他端をカテーテルチューブを介して現有の圧トランスヂューサー(DP45、Validyne社製)に接続、その後回路を密閉し笑気ガスの拡散による圧上昇を10分間計測した。 また同一症例の側頭骨CT画像(1mmスライス、骨条件)を本院放射線部よりDICOM形式の画像データとして入手し、パーソナルコンピュータにデータを移入した。その後画像解析ソフトウエアを用い、1スライスずつ中耳含気腔(乳突蜂巣)の断面積、粘膜表面長を計測、演算処理により計測した中耳腔全体の体積、粘膜表面積を求めデータベース化し保存した。 その結果、計測開始後中耳圧は上昇し中耳粘膜を介して笑気が血管内から中耳腔に拡散する現象(経粘膜換気)が確認された。また中耳腔の表面積に応じた笑気の拡散が認められることがわかった。 今後の研究の展望 1.対象の例数をさらに増やし計測データの信頼性を増す。 2.笑気の拡散性と中耳含気腔の表面積、体積との関係を統計的に解析する。 3.中耳腔の体積と経粘膜換気能との関係、中耳腔の表面積と経粘膜換気能との関係を明らかにする。
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