研究概要 |
三次元画像解析による体平衡の定量的評価法を開発し,前庭機能障害患者の平衡障害の特徴を研究した。マン姿勢起立時の頭部、肩、腰の動きを三次元座標における運動として記録、まず、フーリエ変換法により周波数分析を行い、0.12Hzのハイパスフィルタ処理(フーリエ逆変換)を行った後に、積分処理を行い身体動揺・偏倚量を定量的に評価した。本解析により次の知見を得ることができた。 1)代償期の一側前庭機能障害患者では、健常被験者に比較して有意に身体各部の動揺が大きい。 2)健常被験者では、頭部動揺が肩動揺に比較して大きい(p<0.05)のに対し、一側前庭障害患者では逆に頭部動揺の方が肩動揺より小さい(p<0.05)。これは動揺が高度となると、頸筋による姿勢制御機構が働き、頭部動揺を抑制しようとする生体防御反応と考えられた。 3)一側前庭障害患者の頭部と肩動揺は高い相関性があり、頭部と肩が硬直した状態で動揺していることを示した。 以上のように、本方法により身体動揺・偏倚の立体的な定量評価が可能となり、従来の分析では評価できなかった前庭障害症例の体平衡障害の特徴を詳細に分析できることが確認された。
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