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急性中耳炎による内耳障害を、ラットを用いた蝸牛外側壁の血流障害の観点より検討したところ、エンドトキシンによる中耳炎発症後1目目には有意な血流の低下を認めたが、14日目にはほぼ正常レベルにまで改善していた。血管拡張作用を有するプロスタグランディンE_1(PGE_1)を正円窓に局所投与したが、正常群に比して中耳炎発症早期では血流の増加はわずかであった。エンドトキシン投与時及び12時間後にNOS阻害剤を皮下投与した群では、発症後1日目の有意な血流低下は軽減できた。またPGE1局所投与の反応もきわめて良好であり、蝸牛外側壁血管周囲組織の障害も軽減できたと考えられた。Cationic liposomeを用いた局所遺伝子導入のための基礎実験で、TMAG MLV PEGFP-C1(2nmol)をモルモット内耳に直接正円窓経由で注入した。共焦点レーザーにおいて観察したが、遺伝子を含まないCationic liposome群と有意な差は見られなかった。局所治療のさらなる向上をめざして、エンドトキシン鼓室内投与30分後にDexamethasone、NOS阻害剤を鼓室内追加投与し、PBS投与群と比較検討した。Dexamethasone投与群、NOS阻害剤投与群ともに中耳炎発症1目且の血流障害は、PBS投与群に比し有意に軽減できた。これらの群では、PGE_1局所投与の反応も良好であった。DexamethasoneおよびNOS阻害剤の効果は、ともにiNOSによる組織障害を抑制したことによると考察された。
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