研究課題/領域番号 |
14571620
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
夜陣 紘治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10136062)
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研究分担者 |
竹野 幸夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (50243556)
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キーワード | 鼻アレルギー / 副鼻腔炎 / 好酸球 / サイトカイン、ケモカイン / Th1 / Th2バランス / 転写因子 / NF-κB |
研究概要 |
近年、疫学的な鼻アレルギー患者の急増現象に対応したかのように副鼻腔炎においても好酸球浸潤が高度であり、臨床的にも種々の治療に抵抗する症例が増加しつつある。そこで本研究で我々は、副鼻腔粘膜における1)好酸球の集簇メカニズムと難治化因子の解析、2)臨床背景、特に術前画像所見とアトピー素因との関連性、3)培養上皮細胞モデルを用いた、炎症性サイトカイン刺激による細胞内転写因子の活性化応答の変化、さらには薬剤による制御・抑制効果の可能性、について検討を加えた。 1-i)副鼻腔粘膜の解析では、好酸球高密度群でIFN-γmRNAの低下とGM-CSF、IL-5、eotaxin mRNA発現の亢進が観察された。さらにTh1/Th2バランスの指標となるCD4陽性Th細胞subsetの解析でも、本群ではCCR4(Th2)陽性細胞数の増加と、CXCR3(Th1)細胞/CCR4細胞比の低下が認められた。 1-ii)炎症性の転写因子であるNF-κB p50 subunitの局在と活性化を検討したところ、その発現は主として粘膜上皮に最も強く観察された。さらにその活性化率と局所のIL-8、IL-16、eotaxin mRNAの発現レベルとの間で有意な正の相関、GM-CSF mRNAとの間に弱い正の相関が認められ、好酸球浸潤機構における本転写因子の関与の重要性が示された。 2)臨床的に鼻アレルギー合併の副鼻腔炎症例では、OMCを中心とした領域のみならず、副鼻腔各洞全体に及ぶ粘膜病変を呈しやすく、かつ好酸球浸潤と深い関係が存在すること、が判明した。 3)培養細胞モデルではTNF-α刺激により、早期に細胞内NF-κBの活性化が形態学的に観察され、Trans-AMassayによる定量でも、約2.3倍に及ぶ上昇が確認された。さらにこの現象は合成ステロイド、CysLT受容体拮抗剤の前投与により有意に抑制されることが明らかとなり、これらの薬剤による病態制御の可能性が示された。
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