モルモットを用いて、アミノグリコシド、あるいはグルタミン酸による前庭障害に対する抗酸化剤の効果を検討した。アミノグリコシドによる障害は、モルモットの一側内耳に浸透圧ポンプを用いて30%のストレプトマイシンを24時間微量持続注入することで作成した。臨床応用されている抗酸化剤(エダラボン)は、ストレプトマイシンによる前庭障害に対して、前庭眼反射の利得の低下を有意に軽減した。また、同障害モデルに対して、エダラボンを局所投与した群は、全身投与群に比較して、障害後の自発眼振が有意に抑制された。グルタミン酸による前庭障害は、モルモット一側内耳に小孔をあけ、同部より10mMのAMPAを50μlを5分間で注入することで作成した。グルタミン酸レセプターアンタゴニスト(CNQX)局所投与は、濃度依存性に自発眼振を軽減した。エダラボン局所投与も、自発眼振を抑制したが、さらに、早期のエダラボンの局所投与は、1週間後のカロリックテストで機能回復を認めた。 以上の結果から、エダラボン局所投与はアミノグリコシド、あるいはグルタミン酸神経毒による前庭障害に対して有効な治療法となる可能性がわかった。
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