研究課題/領域番号 |
14571632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小林 範子 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30195797)
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研究分担者 |
西山 耕一郎 北里大学, 医学部, 助教授 (30218218)
廣瀬 肇 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80010031)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 音声障害 / 小児結節 / 音声治療 / 音声訓練 / 声の衛生指導 |
研究概要 |
小児の嗄声の原因として最も多いのが声帯結節であることはよく知られている。しかし、日本では体系的な治療がほとんど行われず、日常生活や音楽の時間の歌唱時に困難を感じている例は少なくない。そこで、われわれは、小児に対して適切かつ有効な音声訓練プログラムの開発を試みた。一般的に声帯結節に対して行われる音声治療プログラムのうち、音声使用の厳しい制限という「声の衛生指導」は、発達的見地から活発な音声使用が望ましい小児には不適切と考え、小児にも無理なく実施できる柔軟な声の衛生指導と系統的な音声訓練を工夫した。音声訓練の手法として、結節の原因となる喉頭の過緊張を減少するために、喉詰めをせずに正しく大声を出す音声指導を主な治療方針とした。 今回我々は、6例の小児結節(男児4名、女児2名)に対して音声治療プログラムを作成・実施した。方法としては、まず、面接や発声状態の観察から、結節ができた原因を同定し、声の衛生指導が必要な症例では、音声使用状況をグラフや表に記録させて声の酷使の回避を試みた。音声訓練は、全例に対して系統的に実施したが、「正しく大声を出す」ための具体的な手法としては、ミュージカルなどで使用される歌唱法の"Belting"(喉頭の挙上、確実な声門閉鎖、十分な声門下圧等の条件での強い声)を使用した。この方法は、実施が容易な上、患児が喜んで行うために訓練効果が上がりやすかった。訓練頻度は基本的に毎週1回であるが、患児側の事情によって隔週1回の場合もあった。1回の訓練時間は約30分であった。 訓練結果としては、5例において2ヶ月から10ヶ月で結節が消失し、喘息による咳の発作のために声の衛生が守りにくかった1例でも結節の縮小が認められ、音声の改善が、聴覚印象評価と音響的により全例で確認され、治療プログラムは成功したと考えた。 この研究成果は、第47回日本音声言語医学会(2002年10月、大阪市)と第146回アメリカ音響学会(2003年11月、テキサス州オースティン)にて発表した。
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