研究課題
基盤研究(C)
上気道における代表的慢性炎症性疾患である慢性副鼻腔炎、中耳炎の中に、従来の保存治療や手術療法に非常に抵抗を示す一連の疾患群の存在が明らかとなり,それぞれ好酸球性副鼻腔炎、好酸球性中耳炎と呼ばれ非常に難治な病態を形成している。私共は慢性副鼻腔炎と慢性中耳炎症例においてこれらの粘膜組織を免疫粗織学的に調べ、特に好酸球遊走因子の発現に関して検討を加えた。慢性副鼻腔炎症例の鼻茸組織には、下甲介粘膜に比べて多数の好酸球が見られ、特に喘息合併例で著明であった。またエカレルチン陽性細胞、RANTES陽性細胞も粘膜下組織に存在し、EG2陽性細胞数と正の相関が見られた。一方好酸球性中耳炎症例においては中耳貯留液中に有意に高濃度のIL-5が存在した.また中耳粘膜ではIL-5,エカレクチンやRANTES陽性細胞が多数観察され、特にエカレクチン陽性細胞数とEG陽性細胞数の間に正の相関がみられた。さらにin situ hybridization法により、エカレクチンのmRNAの発現を副鼻腔粘膜と中耳粘膜において調べたところ、好酸球浸潤が多い症例にてこのmRNAの発現が認められた。気管支喘息症例のようなTh2優位の個体において、副鼻腔粘膜や中耳粘膜にある種の異物刺激が起こることにより、局所でT細胞が増殖、活性化される。その結果II-5が産生され好酸球が局所に集積し、さらに局所におけるIL-5やエカレクチンなどのケモカインの産生で好酸球は活性化あるいは寿命が延長し,好酸球性炎症による難治な病態を形成するものと考えられる。また好酸球性中耳炎症例ではその背景に耳管開放症が存在することも明らかにした.一般に好酸球性炎症の制御にはステロイドが用いられる。そこでこれらの症例に対し、ステロイド薬を局所投与し、その前後の粘膜を免疫組織学的に検討したところ、好酸球遊走因子の発現が減少するとともに好酸球数の減少も認められた。またapotosis陽性細胞細胞も投与後に有意に増加していた.
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