研究概要 |
[1]卵形嚢系交連性前庭神経核ニューロンの性質 卵形嚢神経から入力のある前庭神経核ニューロンは、対側の卵形嚢から交連性抑制を受ける(Uchino et al.2001)。前年度からの継続で本年度この交連性抑制機構を構成するニューロンの性質を調べたが、大部分は前庭外側・下・内側核に存在する前庭脊髄ニューロンの軸索側枝であった。この内容を国際学術誌に発表した(Bai et al.Exp Brain Res 147:419-425,2002)。 [2]卵形嚢微小電流刺激による眼球運動の解析 微小電流刺激法で卵形嚢神経を刺激すると、両眼とも刺激側への水平性眼球運動が、同方法で球形嚢神経を刺激すると、両眼とも垂直性眼球運動が出現した。この結果は先行実験(Uchino et al.1994,96)と良く一致し、現在投稿準備中である。 [3]卵形嚢斑内側の有毛細胞に結合する求心性線維は外転神経核に軸索投射するか? 卵形嚢神経は同側外転神経核へ直接投射する(Uchino et al.1994、96)。例えば左側迷路破壊後、右への直線加速度刺激をすると右卵形嚢斑外側の有毛細胞を脱分極し、右卵形嚢斑内側の有毛細胞を過分極し、左への眼球運動が起きる。もし卵形嚢斑内側の有毛細胞にシナプス結合する一次求心性線維が外転神経核運動ニューロンとシナプス結合するとすれば、"脱興奮"により左へ外転することになる。この仮説を明らかにするためトレーサーを外転神経核に注入し、逆行性に標識される前庭神経週末の存在部位を卵形嚢斑で同定する。現在実験進行中で見るべき結果は得られていない。
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