研究概要 |
頭頸部扁平上皮癌治療後の非担癌状態症例において、腫瘍浸潤リンパ球TIL(Tumor infiltratring lymphocyte)のみならずNK細胞(natural killer cell)や末梢血リンパ球でさえも、そのT細胞受容体ζ鎖(TCR-ζ:T cell receptor ζ-chain)の発現頻度が統計学的に有意に低値を示すことをFlow cytometryにて示した。同時にTNNEL法(Teriminal, deoxy nucleotidyl transferase Mediated dUTP nick end labeling method)を用いたlate-phase apoptosis測定では健常群と比較して有意に高いApoptosisが誘導されていることがわかった。他の研究からこうした現象は頭頸部扁平上皮癌症例に特異的なことではなく、進行性メラノーマ症例でも同様なる知見が得られている。 同時に癌症例では末梢血リンパ球上のFas-RおよびTNF-R1が過剰発現しており、特にFas-R(+)CD3(+)T細胞ではCaspase-3 assayやAnnexin-Vを用いたearly-phase apoptosis測定において高値を示すことがわかった。このFas-R(FS-7 associated surface antigen receptor)を介したT細胞シグナル伝達によりCaspaseが活性化され、CD3(+)T細胞にApoptosisを誘導するだけではなく、TCR-ζが切断されることことも示された。 現在、頭頸部扁平上皮癌病態の活動性と、TCR-ζ,Fas-R, TNF-R1の発現度との相関、CD3(+)T細胞のearly-phase apotosisの定量特にFas(+)annexin V(+)T細胞の定量を行い、Fas/FasLを介した末梢循環系におけるT細胞動態および免疫能の評価を検討中である。
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