研究概要 |
原田病患者前房水あるいは脳脊髄液から樹立したT cell clone(TCC)の解析を行った。これまでに10名の原田病患者から採取した前房水あるいは脳脊髄液をHSVc488でtransformし、合計12名からTCCを得ることができた。前房水からは5名、697クローン、脳脊髄液からは12名、1452クローンが樹立された。これらのクローンの内、1名の前房水から樹立した、21クローン、脳脊髄液から樹立した9クローンをランダムに選び出し、解析した。その結果前房水ではT cell clone(TCC)全体で10/21,CD4陽性T細胞に限れば9/16もの多数のクローンがtyrrosinase(TYR)あるいはtyrosinase related protein 1(TRP1)に反応性を示した。脳脊髄液ではT cell clone全体で2/9,CD4陽性T細胞に限れば2/6がTYRあるいはTRP1に反応性を示した。TCCの細胞表面抗原の解析では全てのクローンがCD3陽性でT細胞であることが確認され、CD4/CD8は16/5であった。これらのTCCのサイトカイン産生能の解析ではTYRあるいはTRP1に反応性を持っているクローンはIL-2とINF-γの産生がみられ、Th1系の細胞が多数をを占めると考えられた。このことから原田病の病態形成にはtyrosinase family proteinに反応性を持っているTh1系細胞が深く関与していることが示された。
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