研究概要 |
1.トキソプラズマ性網脈絡膜炎(ト性網脈絡膜炎)は、インターフェロンガンマ(IFN-γ)がその発症機序に関与している。今回の研究では、cDNAマイクロアレイを用いト性網脈絡膜炎に関与する遺伝子の発現調整機構を解析した。 2.非感染正常マウスから作成したcDNAマイクロアレイを用いて、感染抵抗性マウスBALB/c野生型(WT)対BALB/c IFN-γKO (GKO)マウスおよび感染抵抗性マウスBALB/c WT対感受性マウスC57BL/6 WTの組み合わせによって感染に特異的に発現変動する遺伝子の検索を行ったところ、b2-microglobulin, DMR-N9, spot 14, teststeronの関連遺伝子および未知遺伝子(仮称T.g.Res.X遺伝子)が得られた。現在、上記遺伝子および未知遺伝子の生化学的生物学的活性の解析を進めている。 3.トキソプラズマ弱毒株シストをWTC57BL/6およびC57BL/6GKOマウスに経口投与し、経時的に眼底検査を行い、網脈絡膜炎の有無を観察した結果、C57BL/6GKOマウスにおいて、感染後約10日で、蛍光眼底造影で、網膜血管炎が認められた。 4.経時的に眼球からDNAを作成し、定量的競合的-PCR法で眼内のトキソプラズマDNAを検索した結果、WTマウスでは、網膜に、GKOマウスでは、主に虹彩、脈絡膜にトキソプラズマDNAが認められた(Norose et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 444375,2003)。また、病理的検索の結果、両マウスにおいて、網膜に色素細胞や炎症性細胞の浸潤を認め、トキソプラズマのシストが存在し、GKOマウスにおいては脈絡膜に血液の鬱血が見られた。 5.確立したト性網脈絡膜炎の実験モデルで、関連する遺伝子の発現調整機構をcDNAマイクロアレイを用いて解析中である。
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