研究概要 |
血液房水柵は虹彩血管内皮細胞と毛様体の無色素上皮細胞より構成され、前眼部の代謝維持に大きく関与している。ぶどう膜炎等ではこの柵が破綻し、前房フレアが上昇する。我々は、有色家兎でプロスタグランジンE2(PGE2),PGE2受容体拮抗剤,イソプロピルウノプロストン(PG関連,緑内障治療薬)がこの柵を破綻させ、前房フレアを上昇させることを見出した。有色家兎のPGE2誘発前房フレア上昇をベタキソロール(カルシウム拮抗作用を有する緑内障治療薬),アプラクロニジン(アルファ2作用薬),エピネフリン(ベーター2拮抗薬),ジピベフリン(ベーター2拮抗薬),ベタメサゾン(ステロイド薬),フルオロメソロン(ステロイド薬),ジクロフェナック(非ステロイド消炎薬),プラノプロフェン(非ステロイド消炎薬),バイカレイン(漢方薬中の成分),バイカリン(漢方薬中の成分),トラマゾリン(血管収縮薬),FR12047(COX-1阻害剤),FR188582(COX-2阻害剤)が抑制した。ステロイド剤(ベタメサゾン)は6時間前の点眼で、非ステロイド剤(ジクロフェナック,プラノプロフェン,等)は1時間前の点眼で,抑制効果が最大であった。 ヒトの白内障術後の前房フレア上昇を葛根湯が抑制した。また、レーザー虹彩切開術後の前房フレア上昇をベタキソロール(カルシウム拮抗作用を有する緑内障治療薬)点眼が抑制した。 これらの所見をもとに、ステロイド剤が禁忌のぶどう膜炎症例等に対し、これらの薬剤の消炎効果を応用できると思われた。
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