研究概要 |
1.新たに解析したもめを加えるとこれまでに正常色覚男子230名,一般女子117名,家系的に保因者である女性6名,保因者診断希望の女性7例,色覚異常341名(第1異常男子94例,第2異常男子247例・色覚異常女子14例)の赤緑視色素遺伝子について解析を行った。 2.すでに報告した変異Asn94LyS,Arg330Gln,Gly338Gluに加え,新たにPro231Leu(赤エキソン4)を見出した。これらの変異に他の報告者によるCys203Arg(緑エキソン4)およびPro307LeU(緑エキソン5)の6種の変異を導入したcDNAを用いてオプシンタンパク質を発現させ,次いで11-シスレチナールを結合させて視色素を再構成し,吸収スペクトルを測定した。Asn94Lys,Gly338Glu,Cys203Arg,Pro231Leuを導入した系では全く吸収スペクトルが認められず,これらの変異を持つオプシンは視色素として機能しないと考えられた。Arg330GlnやPro307Leuでは530nmに極大吸収を持つスペクトルが得られたが,正常の系と比べると吸収率が低く,視色素として機能する可能性は低いと推定された。 3.プロモーターに見出した変異-71A>Cは色覚正常者にも見られるが,正常者では視色素遺伝子アレーの3番目(以降)に、第2異常者では2番目に存在することをすでに示している。これをさらにLong-rangePCRにて確認した。また変異のあるプロモーターと転写因子との結合活性を測定する系を準備中である。 4.-71Cの頻度の人種差に関し、日本人:56/230(243%),中国人:19/98(19.4%),タイ人:8/104(7.7%),白人:1/50(2%),黒人:0/14(0%)であり,人種による相違が明確になった。
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