研究概要 |
本年度は,1)培養ヒト角膜線維芽細胞のLipopolysaccharide (LPS)認識に関連する受容体,タンパク質の発現をRT-PCR法を用いて検討した,2)LPS刺激による培養ヒト角膜線維芽細胞からの好中球,単球の遊走促進因子(interleukin-8[IL-8],monocyte chemotactic protein-1[MCP-1]),好中球,単球活性化因子(intercellular adhesion molecule-1[ICAM-1])の発現についてタンパク質レベルではELISA, whole cell ELISAで,mRNAレベルではreal time RT-PCR法を用いて検討した,3)培養ヒト角膜線維芽細胞のLPS認識におけるヒト血清の必要性について検討した。 1)培養ヒト角膜線維芽細胞は,LPS受容体である,Toll-like receptor (TLR)-4,cluster of differentiation (CD)14分子を発現していた。TLR-4の細胞膜上への分布に必須なタンパク質であるMD-2の発現も確認された。 2)E.coli, P. aeruginosa, S. minnesota由来のLPSによる刺激に対して角膜線維芽細胞はIL-8,MCP-1,ICAM-1をmRNAレベル,タンパク質レベルで発現した。この反応は量,時間依存的であった。これらの生理活性物質の発現に対する作用は,E.coli> S. minnesota>> P aeruginosaの順に低くなっていた。 3)AB型ヒト血清の存在下で,角膜線維芽細胞のLPSに対する反応は高められた。約0.1%のAB型ヒト血清の存在下で,LPSに対する感受性は約1000倍高められた。これはヒト血清中に存在するLPS binding proteinの作用によると考えられた。
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