測定電極は、前年度までに開発して、動物実験で良好な測定結果を得られたものを採用した。インピーダンス・アナライザでの測定条件ごとの、低周波域の電流による直接刺激および高周波域でのマイクロ波による誘電加熱の影響について検討し、ME機器の安全基準およびANSI安全基準を満たしていることを明らかにし、本学(旧高知医科大学)倫理委員会の承認を得て、実際にヒトの生体インピーダンス測定の段階へと進んだ。 実際の臨床患者での測定では、倫理委員会の規定にのっとり、十分な説明と同意のもとで行った。ヒト眼瞼の生体インピーダンス測定の結果は、白色家兎とほぼ同様であり、眼瞼を翻転させ眼瞼結膜側から測定することによって、マイボーム腺の誘電挙動が観察可能と考えられた。 輪部結膜のメラノーシスの患者では、正常他眼と比較して、色素沈着部位の誘電挙動が明らかに変化しており、本法を用いることにより、腫瘍性病変が他覚的・定量的に評価できる可能性が示された。
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