研究概要 |
本研究は眼瞼腫瘍患者でのインビボインピーダンス測定を目的とするものである.渡邊牧夫(平成14,15年度本研究代表者)らは以前,実験動物を用い角膜のインピーダンス測定に成功した.しかし,ヒトにおけるインビボでインピーダンス測定に関しては試みられていなかった.そこでまず,ヒトにおいてインビボでインピーダンス測定が可能かどうかを検討するために,高知大学医学部倫理委員会からの許可を得,被検者の同意を得た上で,健常人角膜ならびに水疱性角膜症の患者角膜でインピーダンス測定を試みた.方法はHP社製インピーダンス・アナライザ4194Aを用い,コンピューター制御下で表面電極を用い10KHzから100MHzにわたり,角膜の広帯域・高確度インピーダンス測定を行った.その結果,低周波域と高周波域における誘電分散の比率に違いがあることが明らかとなった.すなわち,健常者では低周波域/高周波域は1.5前後であったが,水疱性角膜症患者では0.5以下と著明に低下していた.さらに,角膜内皮密度の測定できる患者では,角膜内皮密度と誘電分散の比率に相関する傾向がみられた.この結果は角膜内皮細胞密度を反映していると考えられた.続いて眼瞼腫瘍でインビボインピーダンスを測定すべく電極の改良を行ってきた.しかし,本研究期間内では,眼瞼腫瘍患者におけるインビボインピーダンス測定はできなかった.
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