研究課題/領域番号 |
14571676
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
後藤 純信 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30336028)
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研究分担者 |
坂本 泰二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10235179)
飛松 省三 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40164008)
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キーワード | 網膜色素変性症 / トランスジェニックモデル / 網膜電図 / 杆体細胞 / 錐体細胞 / ON型,OFF型双極細胞 / 網膜内層機能 / 律動様小波 |
研究概要 |
目的:網膜変性による網膜機能障害を網膜全般の現象と捉え網膜変性疾患の病態を明らかにする目的で、網膜色素変性症モデルのrdcラットと錐体-杵体ジストロフィ症モデルのCMYCマウスを用いて、杵体・錐体系細胞や網膜内層の経時的機能変化を網膜電図(ERG)で定量解析した。 対象:生後1、3、5ヶ月の正常マウス(C57BL/6J)、rdcラット、CMYCマウス各10匹 ERG記録法:角膜上にマウス用コンタクト型電極を置き、ガンツフェルド刺激装置と発光ダイオード刺激装置を用いてERGを記録した。 実験:1)網膜外層の細胞の機能解析、2)錐体細胞系ON型、OFF型双極細胞の機能変化の検討、3)ミューラー、アマクリン細胞の機能変化 結果:1)rdcラットでは暗順応下ERGも明順応下ERGも経時的に振幅が減少し、5ヶ月でほぼ平坦化した。一方CMYCマウスでは明順応下ERGが1ヶ月から振幅減少が認められたが、暗順応下ERGは5ヶ月で漸く有意な振幅低下が認められた。2)rdcラットでは錐体細胞系ON型、OFF型双極細胞の反応が3ヶ月でほぼ消失した。一方CMYCマウスでは1ヶ月でまだ正常振幅が得られたが、3ヶ月で極端に振幅低下が認められた。On型とOFF型に有意な変化の差は認めていない。3)ミューラー、アマクリン細胞の機能変化は個体差が大きいが、いずれのモデル動物でも律動様小波の振幅が1ヶ月目から低く、潜時も延長している。 考察と今後の方針:杵体細胞や錐体細胞の機能変化は、CMYCマウスでは以前と類似する結果であったが、rdcラットでは他施設より変性が速い傾向であった。双極細胞の機能低下は両モデルともほぼ錐体細胞の変化に沿って低下したが、これが双極細胞独自の変性によるか、二次的な機能低下か現時点では明らかでない。今後は、引き続き経時的な網膜機能変化を検討し、網膜内層の細胞の機能定量化を進め、細胞のアポトーシスを指標にした組織解析や遮光の残存機能温存効果を検討する予定である。
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