研究概要 |
Chemical vitrectomyの臨床応用 実験モデルにより得られた結果をもとに、患者に対し臨床応用を行った。患者の自己血から精製したplasminogenに2500U urokinaseを混合し、7-15Uのplasminを得た。 手術室において術眼を通常の手術で行うごとく消毒し、4%キシロカイン点眼麻酔下にて患者自己血清から精製したplasminを30-ゲージ針にて、0.1-0.2ml硝子体内に注入した。15分-30分間の待機中に白内障手術を施行し、硝子体手術へ移り、硝子体の液化、PVDの有無の評価については実験モデル眼で述べたと同じ要領で行った。Plasmin投与症例42眼全例において硝子体の液化が観察された。自然にPVDが観察されたものは20%で、残りの半数は硝子体皮質切除中に自然にPVDが生じた。増殖膜を伴う糖尿病網膜症では自然に起こるPVDは観察されなかったが、増殖膜の処理、切除は容易であった。 Plasmin投与によるMMP-2活性化 Plasmin投与前後の硝子体サンプルからplasminによってもたらされるMMF-2の活性化についても検討した。家兎眼において0.05,0.25,0.5 IUのplasminを投与した際のactive MMP-2を測定すると濃度依存的に有意に上昇することがわかった。臨床症例からのサンプルからもplasmin投与により明らかにactive MMP-2の上昇がみられた。 ICG投与による網膜障害の検討 手術に用いる薬剤の一つであるindocyanine green (ICG)の網膜下注入による毒性についても検討した。5mg/ml,25mg/mlでは明らかに網膜のアポトーシスがみられ、著明な網膜障害が観察された。0.5mg/mlでは対照群との問に有意な差は認められなかった。
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