研究概要 |
網膜色素変性は日本人の失明の原因として重要な疾患である。その中でもX連鎖性網膜色素変性は頻度は比較的少ないものの、若年発症で重症例が多いため社会的にも重要な疾患である。われわれはX連鎖性網膜色素変性(XLRP)の原因遺伝子であるRPGR遺伝子について解析した。家族歴や症状からXLRPが疑われた互いに無関係の日本人26家系においてRPGR遺伝子を解析した。その結果日本人6家系においてエキソンORF15の変異(g.ORF15+753-754insG, g.ORF15+833-834delGG, g.ORF15+861-862insGG, g.ORF15+861-862insGG, g.ORF15+651-652delGA(二家系))を見出し、家系内において臨床所見と遺伝子変異が合致することを確認した。また関東在住の日本人XLRP1家系の2人の男性患者において、おおきな欠失が存在することを見出した。患者ではPCRによりエキソン1-10が増幅されず、サザンブロッティングにおいてもシグナルが確認できなかった。エキソン11-19、ORF15では正常配列を確認した。欠失範囲をさらに特定するために各種プライマーを用いてPCRを行った結果、欠失の開始点はエキソン1の開始点より59から122bp上流の部位に位置し、終了点はエキソン11の開始点より114から325bp上流に位置することが推測された。この部位はPRGR遺伝子のRCC1 homology domainの大部分を含んでいる。今回の結果はRPGRタンパクの機能においてRCCl homology domainの重要性を示唆するものであった。
|