研究概要 |
1)両眼白内障手術時に人工レンズによるモノビジョン法を施行した症例の20%で術後に眼精疲労や違和感,見えにくさ等の訴えがあり,現在その要因分析を進めている.その結果,強い眼優位性による一眼のボケ抑制の不良,左右眼の不適切な屈折差,術前からの両眼視機能不良や上下斜視の存在が明らかとなり,日本眼科学会総会にて発表する.2)眼優位性の基礎データの収集に関しては大型弱視鏡用に自作した白黒斜縞の視野闘争図形(刺激領域は中心2度,2〜5度,5〜8度の3種類で縞幅は視角10分)を用いて検討した.視野闘争は中心2度刺激で最も誘発され,sensory dominance(知覚優位性)の強さの指標である一眼のみの視認時間も最も長く,さらにhole in cardに代表されるsighting dominance(運動優位性)との弱い相関もみられた.次年度からは網膜偏心度による解像度の違いを考慮した縞幅と半側視野刺激を用いて,鼻側・耳側視野での反応の相違を検討する予定である.3)視覚誘発脳電位(VECP)を用いた視野闘争の電気生理学的検討はハーフミラーを内蔵した両眼分離装置を含めて刺激・記録系の設定はほぼ完了し,現在本実験に取りかかっている.眼優位性の弱い被検者では視野闘争時に振幅の増大傾向を認めることが判明したが,空間周波数・コントラスト・順応・網膜照度等の条件の違いにより影響を強く受けるため,今後慎重に検討を重ねる予定である.成果の一部は6月の日本斜視弱視学会総会で発表する.3)眼優位性の強さの定量化を目的として,現在パソコンを用いて視野闘争図形の一眼の刺激コントラストのみを徐々に低下させ,左右眼で均等に視認できる閾値を求める方法を開発中である.正確な定量化により術前にモノビジョン法の適応を厳密に決定できることが期待される.成果の一部は今年度のARVOにて発表予定である.
|