研究概要 |
【背景・緒言・目的】 実験的ヘルペス角膜実質炎では病初期にTh-1サイトカインであるIL-2やIFN-γが誘導され組織障害性に働く。病後期になるとTh-2サイトカイン優位となり、実質炎は治癒する方向に進んでいく。 IL-18はIFN-γ誘導因子として同定されたサイトカインであるが、最近になってIL-18はIL-4,IL-10,IL-13などのいわゆるTh-2サイトカインも強く誘導する炎症のmodulatorとして働く事が解明されてきている。さらに、IL-18はPGE2を産生し、生体の治癒再生機構にも関与していると考えられる。 このように炎症の初期の段階でTh-1とTh-2両方に働くサイトカインは、条件によってThをシフトさせる可能性があると考えられるので、Th-1優位からTh-2優位へのシフトにIL-18がどのように関与するかを解明する目的で実験を行なった。 【結果】 Th1優位であるB6マウスのほうに角膜の炎症が強く出現した(Th1優位では臓器特異的な反応が強くでやすい)Th2優位のBalb/cマウスでは局所の炎症は弱いが全身の反応は強いので生存率は低くなった。 ヘルペスを感染させて発現したサイトカインはIL-4、IL-10,IL-12の3種類のみであった 血中のサイトカインはB6マウスとBalb/cマウスで変化に差はない 血中のサイトカインの炎症の前期・後期での変化はTh1/Th2と関係しない 【考案】 マウスの実質型角膜炎でもTh1優位の状態では局所の炎症が強く生じ、全身反応は抑えられている。Th2優位の状態に移行できれば局所の炎症を抑えられることが期待できる。
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