1.食道の再生 (1)食道筋層の再生:食道閉鎖症に対して行われる筋層切開食道延長術の際に生じる筋層欠損部に自己組織の再生を試みた。自己組織再生用に開発されたコラーゲンスポンジを用いて再生を試みたところ、筋組織の再生は見られなかったが、自己の結合組織の再生が見られ、筋層欠損部の補強が可能であることが示された。 (2)食道全層の再生:食道の再生に同種の食道から細胞成分を取り除いたacellular matrixを用いて食道の再生をラットを用いて観察する実験を行っている。まだ、初期段階であるが、ラットが、1ヶ月以内に死亡してしまうため、長期的観察のために新たな工夫が必要と思われる。 2.膀胱の再生 自己細胞を用いた膀胱組織の再生実験を行い、合成高分子のPLGA meshと天然高分子のcollagenを組み合わせた新しいScaffoldを用いて、ブタの膀胱組織を用いて自己細胞からなる膀胱組織をin vitroで構築することに成功した。再構築された膀胱壁コンストラクトは形態学的及び免疫組織学的に検討され、膀胱組織の特徴を維持していることが確認された。現在、生体内での観察を行うため、ビーグル犬を用いて埋め込みの実験を開始している。 3.骨髄の幹細胞による虚血腸管のsalvage ラットを用いた腸管の虚血モデルをもちいて、骨髄の幹細胞による腸管虚血の改善について、実験を行った。骨髄の幹細胞を静脈内に注入して観察したが、生存率の改善は得られなかった。 4.横隔膜の再生 横隔膜ヘルニアを想定して、横隔膜欠損部における横隔膜の再生実験を行っており、PLGA meshとcollagenからなるScaffoldに骨髄由来の多能性の間葉系幹細胞を播種して横隔膜の再生を観察している。
|