研究概要 |
平均体重9.9kgの離乳直後の幼ブタ15頭を用い、小児ECMO用自動制御血液灌流装置により流量20ml/min/kgで肝静脈-門脈間生体内分離肝灌流を4時間まで行った。回路はグルコース非含有1/2生理食塩水を15ml/hourで灌流し、灌流液中にインスリンとグルカゴンを添加し、CONT群:灌流液のみ、25RI群:灌流液500mlにレギュラーインスリン25単位含有、75RI群:灌流液500mlにインスリン75単位含有、25GL群:灌流液15mlにグルカゴン0.25mg含有、50GL群:灌流液15mlにグルカゴン05mg含有、の5群に分け、代謝学的変化を生化学的に検討した。総蛋白とアルブミンは時間の経過と共に低下し、群間に差はなかった。中性脂肪は開始後徐々に上昇し、インスリン群では明らかに高値を示した。総コレステロールは徐々に低下し、特に群間で所見を認めなかった。グルコースはCONT群が、直後が301.0±29.4mg/dl、2時間後が1,276.0±129.9、4時間後が1,249.3±264.9、25GL群で直後が244.7±41.0、2時間後が1,441.0±474.2、4時間後が1,501.7±556.0、50GL群で直後が268.0±36.0、2時間後が1,508.3±168.4、4時間後が1,388.3±138.6、インスリン含有群では25RI群で直後が259.7±48.2、2時間後が1,173.3±268.3、4時間後が879.3±249.4、75RI群で直後が182.0±38.6、2時間後が1,060.7±305.8、4時間後が700.7±282.4と、インスリン群で有意に下降し、75RI群でより著明であった。今回の研究ではインスリンはグルコースと中性脂肪に影響を及ぼし、特に肝灌流中のグルコース濃度は有意にインスリン依存性、かつ濃度依存性であった。
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