研究概要 |
近年腸管ペースメーカー細胞が消化管平滑筋の運動をコントロールする報告が見られるが、詳細は不明である。我々はこれまでに種々の病態の小児例において、スリーブセンサーを有するマルチプルチャンネルの細径カテーテル(径2mm)を使用し、食道・噴門・胃・幽門・十二指腸運動及び下部消化管運動の解析に応用してきた。研究の目的は、このマルチチャンネルマイクロマノメトリー法を、ラットの上部消化管運動の測定に応用し、消化管運動の調節機構への腸管ペースメーカー細胞の関与を明らかにすることで,ある。8週令、体重250gのラットにおいて、ケタミン麻酔下で開腹してスリープセンサーと7つの側孔を持つ、8チャンネル内圧カテーテル(径2mm)を胃体部から挿入し、1側孔を胃前庭部、スリーブと4側孔を幽門部、1側孔を十二指腸の内圧を測定できるように留置した。低コンプライアンス微量潅流ポンプを用い、各チャンネル0.5ml/hrの流速で脱気水を潅流して、持続的に内圧を測定した。圧データはパーソナルコンピュータに記録して、Synectics社製ソフトウエアーを用いて計量し分析した。 24時間絶食後(空腹期)において、胃前庭部、幽門部、十二指腸において、律動波が観測された。このシステムでラットでも人や大動物と類似の運動波を観測しうることが明らかとなり、今後、経口摂取や迷走神経刺激による運動波の変化を検討する予定である。また、腸管ペースメーカー細胞の関与を明らかにするために、腸管ペースメーカー欠損ラットとの比較を検討する予定である。
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