研究概要 |
小児の代表的な固形腫瘍である神経芽腫は分化やアポトーシスにより自然退縮する予後良好群と悪性増殖する予後不良群の2つのサブセットに分類されると考えられている。これら群間には年齢、N-mycの増幅の有無やDNA ploidy patternの違いなどの予後に関する分子生物学的特性の相違がありgenomicに異なっていると考えられている。しかし自然退縮、悪性増殖のどちらに対してもそれに関与するシグナルについてはいまだ明らかにはなっていない。そこで、当科で手術により切除し、インフォームドコンセントの得られた6例の乳児神経芽腫の腫瘍組織と3例の進行神経芽腫の腫瘍組織の遺伝子発現を検討した。対照としてはインフォームドコンセントのもと多汗症の手術で得られた成人男性の正常交感神経節を用いた。Isogen kit(Nippon Gene)を用いてRNAを抽出したのちBioChip用のcDNAを作成した。Bio ChipはAffimetrix Gene Chip, Human Gene U95Av2, Part number 510559を使用しhybridizationを行った後、遺伝子を定量した。解析はD-Chip法およびGeneSpring法にて行ったところ、発現に差を示した遺伝子を複数抽出することができたので、今後これらの遺伝子のついて更なる解析(定量的RT-PCRなど)を行っていく予定である。
|