研究分担者 |
脇坂 宗親 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30267596)
川瀬 弘一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90214650)
小池 淳樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (40308440)
中田 幸之介 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70081734)
佐藤 百合子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (80318948)
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研究概要 |
妊娠羊をもちいておこなっているこの実験は妊娠羊の価格が日本の約1/6で安定した動物の供給が得られるニュージーランドWellingtonの農場と契約している.羊胎仔を胎生60日で胎盤をつけたまま帝王切開し,胎仔の尿膜管と尿道を結紮する(満期145日).術後20日から32日までの間で帝王切開をおこない胎仔を娩出し,腎臓の経時的変化を観察した.この間の腎臓の変化から現在臨床で行われている胎児手術の基本である膀胱羊水腔シャントの時期を検討した. 1年間で34匹の胎仔手術をおこなった.2匹は尿路の結紮不全,1匹は死産であった.25匹に腎の嚢胞形成が認められ,肉眼的に確認できる大きな嚢胞形成は8匹,顕微鏡的な小さな嚢胞形成が認められたのは17匹であった.また嚢胞の主な成分は病理所見から近位尿細管であることが確認された.今回の検討結果からはじめて尿路閉塞後3週間から4週間の変化を見ることができたが,多嚢胞性異形成腎(MCDK)に移行していく過程の中に,23匹の胎仔はnephrogenic zone内に嚢胞形成を認め,この変化がこの後の腎形成に大きな影響を示してくる可能性が示唆された.昨年までの実験結果からは満期145日ではnephrogenic zoneは既に消失して認められなかった. 本年度の結果から胎生60日の尿路閉塞は腎の発生に対して,まずそのフロン形成を減少させることが明らかとなった.そのメカニズムはnephrogenic zone内に嚢胞を形成させることが証明された.これらのnephrogenic zone内の嚢胞形成と近位尿細管の拡張は新たなネフロン形成を抑制していると考えられた.尿路閉塞後20日間では既に腎の早期のMCDKの所見が認められ,閉塞後3週間より早期の胎児シャント手術が必要であることが考えられた.
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