研究概要 |
臨床研究 1.新生児における人工肛門周囲皮膚管理の効果に関する検討.人工肛門造設術を行った新生児の人工肛門周囲皮膚を強酸化電解水で洗浄する部位と生食で洗浄する部位と分けて、皮膚pHを測定し、新生児の皮膚ケアを行った.現在全4症例において検討し、洗浄前はpHが5〜7程度の部位が生食洗浄では変化しなかったものが、酸性水洗浄後は平均3程度まで低下し、強力な殺菌作用と実際の皮膚保護作用が確認できた.暖めた酸性水で全身浴を行っても全く問題なく、今後症例を増やして、実際の皮膚障害抑制の効果を確認していく予定である. さらに,人工肛門周囲の実際の抗菌・除菌作用を確認する目的で,強酸性電解水によるストーマ皮膚周囲の洗浄前後における細菌定量培養検査を行ったところ,洗浄前と洗浄後では有意に細菌数が減少した.(1)新生児のストーマ周囲に強酸性電解水を使用することで皮膚細菌数を減少させることができ,病原性細菌は検出されず,皮膚感染も来さなかった.(2)新生児のストーマ周囲に強酸性電解水を使用することで皮膚細菌数を減らすことは病原性細菌の定着および感染の予防につながると考えられる.(3)皮膚刺激が少なく環境に優しく,経済的効果も優れており,さらに創傷治癒効果と速効な殺菌作用を併せ持つ強酸性電解水はストーマ患児の皮膚ケアに有効であると考えられた. 2.穿孔性虫垂炎の患児10例に対し腹腔内洗浄を生理食塩水で行う群と強酸性電解水で行う群とにアトランダムに分け洗浄前後の腹水細菌定量培養,経口摂取開始までの日数,入院日数,合併症等を比較検討した.腹水の細菌培養では強酸性電解水で洗浄した群が細菌数が低い傾向にあり,入院日数,経口摂取までの期間も酸性水群が短かった.術後合併症は生食群で1例皮下膿瘍を認めたのみであった.今回症例数が少ないので有意差は認めなかったが,今後症例数を増やし検討したい.
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