研究課題/領域番号 |
14571712
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片岡 和哉 京都大学, 医学研究科, 助手 (10314189)
|
研究分担者 |
井出 千束 京都大学, 医学研究科, 教授 (70010080)
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
|
キーワード | 脱髄疾患 / Ethidium Bromide / GFP / Neurosphere / Oligodendrocyte / 分化 / 髄鞘形成 / アルギン酸 |
研究概要 |
まず、脱髄疾患モデルとしてSDラット(生後30-60日)の脊髄後索(Th10)に0.1%Ethidium Bromideを1μl注入し、脊髄組織の変化を観察した。脊髄組織は、主に神経膠組織(astrocyte, oligodendrocyte)が傷害され、神経細胞や軸索にはあまり障害が及ばないことが確認された。ただ、注入量が多い場合や、注入操作そのものにより侵襲により、軸索も傷害されることがわかった。 つぎに、GFP(Green Fluorescent Protein)産生遺伝子を組み込んだTransgenic Rat(SD strain)の胎児(胎生16〜18日)の海馬を採取し、これを単細胞に分割した。この細胞を培地に入れ、4〜6日浮遊培養し、Neurosphere(神経幹細胞)を得た。この細胞を、脊髄後索(Th10)に0.1% Ethidium Bromideを1μl注入し神経膠組織を損傷したラット(生後30-60日)に第四脳室より注入した。注入後3〜6週で脊髄を取り出し観察すると、正常部脊髄表面軟膜上にNeurosphereの付着が多数見られた。また損傷部(0.1%Ethidium Bromide注入部)には、軟膜の損傷部より脊髄組織内にNeurosphereの侵入が見られた。免疫組織化学染色では、Astrocyte様細胞への分化を思わせる所見は得られたが、Oligodendrocyteへの分化、および髄鞘形成を示唆する所見は現在の所得られていない。またNeuronへの分化の所見も得られなかった。8〜12ヶ月後Oligodendrocyteへの分化が見られたとする報告もあり、もっと長期間の観察を行う予定である。 これと平行して、もっと基礎的な研究として、アルギン酸が損傷された脊髄組織に与える影響、再生した軸索との相互関係等についての研究を行い、現在論文投稿中である。
|