研究課題/領域番号 |
14571741
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
藤村 朗 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (80173459)
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研究分担者 |
大澤 得二 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (00103747)
小野寺 政雄 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (10326689)
野坂 洋一郎 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (60048379)
奈良 栄介 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (10275571)
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キーワード | リンパ管構築 / 頭頸部 / ヒト / 成体 / 胎児 / リンパ管発生 / リンパ節 / 薬剤投与経路 |
研究概要 |
ヒトにおける頭頸部領域のリンパ管構築はほとんどが所属リンパ節との関係で行われており、個々の臓器についての検索はない。さらに末梢から所属リンパ節への経路、所属リンパ節間の連絡等についての報告もほとんどが推測の域を出ていない。我々は、頭頸部領域の各臓器についてリンパ管構築を明らかにするとともに、所属リンパ節内のリンパ流路となる洞の構造について検索した。その結果、舌内部、歯肉のリンパ管構築を明らかにした。舌には縦舌筋筋束に沿って走行する上下の縦舌筋伴行集合リンパ管と舌中隔内集合リンパ管が舌の前後方向に走行し、舌のリンパを集めて外に輸送していた。これらの集合リンパ管には各内舌筋伴行集合リンパ管が合流していた。歯肉には2層のリンパ管網が唇側に認められ、表層のものは目が粗く、深層のものは目が細かった。舌において正常のリンパ管源流は内舌筋内筋周膜にまで侵入していた。これらのリンパ源流からのリンパは各内舌筋筋束に沿って走行している集合リンパ管に集まり、最終的に上縦舌筋下伴行集合リンパ管、舌深動脈伴行集合リンパ管、舌中隔内集合リンパ管を経由して舌から流れ出ていた。舌に腫瘍が発生した場合、これらのリンパ源流および各内舌筋伴行集合リンパ管は腫瘍の増殖に伴い、消失していた。しかしながら、消失最前線部においては毛細リンパ管が活発に新生しており、この新生毛細リンパ管からの腫瘍細胞の侵入がリンパ節転移に大きく関わっていることが推測された。これに対し、血管新生阻害薬を血管内注入または腫瘍内注入することにより、腫瘍周囲リンパ管は血管よりも大きく後退し、腫瘍の増殖を抑制するのみならず、リンパ節転移をも抑制した。このことは、血管新生阻害薬が腫瘍周囲のリンパ管の新生を抑制したことによるものと推測された。すなわち、腫瘍細胞の侵入経路となる腫瘍周囲毛細リンパ管の新生を抑制しつつ、抗癌剤を局所から所属リンパ節に投与することができれば、その効果は絶大になると推測された。
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