研究課題/領域番号 |
14571746
|
研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
落合 邦康 明海大学, 歯学部, 教授 (50095444)
|
研究分担者 |
田川 由美 明海大学, 歯学部, 助手 (20348189)
竹下 玲 明海大学, 歯学部, 講師 (70236454)
天野 滋 明海大学, 歯学部, 助教授 (90167958)
落合 智子(栗田 智子) 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (20130594)
|
キーワード | 嫌気性菌 / 酪酸 / アポトーシス / T細胞 / 線維芽細胞 / 接着因子 |
研究概要 |
酪酸誘導T細胞アポトーシスの制御因子のスクリーニング過程において、繊維芽細胞(HGF)とT細胞の相互作用により、酪酸誘導アポトーシスが回避される現象を見出し、より詳細に解析を行った。両細胞の付着に関与する因子を決定するため、細胞付着アッセイ系に主要抗接着因子モノクローナル抗体(抗CD49a、抗CD49b、抗CD49d/CD29、抗CD49e、抗CD44など)を添加し、阻害実験を行った。その結果、抗CD44、抗CD49b、抗CD49e抗体で顕著なT細胞阻害効果が認められた。また、全ての抗体を作用させた場合、約80%の付着阻害効果が認められたことから、その接着にはCD44、CD49b、CD49e等が関与していることが判明した。この現象がHGFに広く存在するか否かを検討するため、健康歯肉からHGFを4株分離し同様の検討を行った。供試した細胞のうち3株において、程度の差はあるものの、顕著なT細胞接着促進が認められた。また、酪酸処理により株化HGFのファイブロネクチンやコラーゲン産生性が促進された。現在、酪酸処理によるT細胞のCD44、CD49b、CD49e産生に及ぼす影響を検討中である。一方、歯肉病変部分離HGFは、低濃度の酪酸によってもアポトーシスが誘導され、T細胞接着を促進する現象は認められなかった。これらの結果は、歯肉組織においてはT細胞のアポトーシスを積極的に回避し、酪酸の為害作用から組織の恒常性を維持する機構を備えているものと思われる。HGFの酪酸感受性の違いが歯周病発症に深く係わる可能性が示唆された。
|