研究概要 |
本研究では,常に骨の新生が誘導されている漆関節軟骨や下顎骨軟骨において,各種の軟骨性疾患や,ホルモン投与による生理的な微小環境の変化が,軟骨細胞の増殖や発育にどのような影響を与えているかを組織細胞化学的,分子生物学的に検討することによって,軟骨細胞の機能的な発育・成長ならびに病態を解析することを念頭に実験を組み立てた。すなわち,軟骨細胞の機能的分化とその病態に関して,以下のような研究を行った。1)卵巣除去ならびにエストロゲンの投与が成体ラット下顎頭軟骨細胞の発育制御にどのように関与しているかを生化学,組織細胞化学,画像解析学的に検討した。2)軟骨細胞の基質形成能と,軟骨細胞の成長極性との関連を解明していく上で,その指標となり得るGFPの取り込みを確認するために,細胞膜流動の顕著な培養唾液腺細胞を用いて,SNARE蛋白の取り込みを観察した。3)細胞分裂能の高い生体移植性軟骨肉腫や扁平上皮癌細胞を使用して,基質分解酵素(MT1-MMP)の遺伝子レベルでの発現を検討した。各々の項目に関する研究成果の一部を論文としたので,別項に添付する。
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