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2002 年度 実績報告書

バイオフィルム形成に影響を及ぼす齲蝕細菌表層蛋白のプロテオーム解析

研究課題

研究課題/領域番号 14571749
研究機関昭和大学

研究代表者

後藤 延一  昭和大学, 歯学部, 教授 (10077175)

研究分担者 森崎 弘史  昭和大学, 歯学部, 助手 (30317581)
五十嵐 武  昭和大学, 歯学部, 助教授 (10159585)
キーワードソーターゼ / Streptococcus mutans / 表層蛋白抗原 / グルカン結合蛋白質 / バイオフィルム / デンタルプラーク / LPXTGモチーフ / Cell Wall Anchoring
研究概要

バイオフィルム形成に影響を及ぼす齲蝕細菌表層蛋白質を解析するために,本年度は齲蝕細菌表層蛋白質の細胞表層への結合を触媒している酵素"ソーターゼ(SrtA)"の遺伝子解析を行い,それをもとにSrtA欠損変異株を作成し,この変異株における表層蛋白質の膜局在性の変化が齲蝕細菌の歯面付着に与える影響を調べた.被験菌にはヒトの主要な齲蝕細菌であるStreptococus mutansを用い,そのソーターゼ遺伝子(srtA)をPCRで増幅しクローニング後,その全塩基配列を決定した.その結果,SrtAをコードする遺伝子の読み枠は741塩基対で246アミノ酸からなり,その分子量は27,481で等電点は10.1を示した.つぎに,この塩基配列をもとにSrtA変異株をsrtA遺伝子の相同組換えによる挿入不活化法により作成した.このSrtA変異株と野生株の細胞表層および培養上清中のタンパク質のSDS-PAGE分析パターンを比較したところ,分子量200kDaと75kDaの2本のバンドが新たにSrtA変異株の培養上清中に検出された.この2つのバンドは特異抗体を用いてウェスタンプロット解析により,それぞれ表層蛋白抗原(PAc,200kDa)とグルカン結合蛋白質(GbpC)であることを明らかにした.さらに,SrtA変異株はデキストラン依存性凝集能とショ糖非依存性の壁付着能を消失していることが明らかになった.これらの結果は,PAcとGbpCはSrtAによって細胞壁に結合され,プラークバイオフィルム形成に関与していることを示唆した.この現象はsrtA遺伝子の挿入不活化のみならずSrtAの阻害によっても期待できることから,SrtAは齲蝕予防の新たな標的として有用な酵素であると推測された.また,ここで決定したsrtA遺伝子の全塩基配列はDDBJ(日本DNAデータバンク)に登録した(登録番号:AB089932).

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 五十嵐 武: "Streptococcus mutansのSortase遺伝子srtAの不活化は表層蛋白質PAcの細胞壁anhoringを阻害する"歯科基礎医学会誌. 44・5. 158 (2002)

  • [文献書誌] Takeshi Igarashi: "Surface Proteins of Streptococcus mutans Linked to the Cell Wall by Sortase"Abstracts of Papers for JADR. 103 (2002)

  • [文献書誌] Takeshi Igarashi: "The sortase of Streptococcus mutans mediates cell wall anchoring of a surface protein antigen"Oral Microbiology and Immunology. (印刷中). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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