研究課題
基盤研究(C)
Tight junction (TJ)は、傍細胞輸送経路(para-cellular pathway)による水および唾液蛋白質の選択的透過機構を制御すると共に、細胞膜の特徴を決定づけるフェンス機構と細胞極性、さらには、TJ構成蛋白を介して細胞膜直下の細胞質内で起こる細胞内情報伝達機構としての鍵を担っていると考えられることから、本研究では、このTJについて超微形態的、機能的、遺伝子発現の面からアプローチするとともに、Aquaporinの唾液腺における細胞内局在と機能解析をおこなっている。1)唾液腺におけるTJ構成蛋白の、ZO-family、Claudin-family、Occludinは、Isoproterenol (IPR)、Carbachol (CCh)刺激にともなう細胞間分泌細管部のTJの不規則な形態変化によって、TJ部から近傍の細胞質内へと移行していた。2)潅流ラット顎下腺による、IPRとCCh刺激時のTJの構造について、未固定新鮮組織の液体ヘリウム急速凍結ディープエッチング・フリーズフラクチャーレプリカ法により検討しており、CChおよびIPR分泌刺激では、分泌顆粒の腺腔側膜への癒合にともない、細胞間分泌細管部のTJを構成する膜内粒子の配列が不規則となり、フリーエンドやターミナルループの増加とともに、基底側に拡散する傾向が認められた。これらの膜内粒子は、細胞膜直下に存在るアクチン線維と、TJ介在蛋白を介して結合しているのが観察され、TJを要として側方膜および腺腔側膜直下のアクチン細胞骨格が緊密な網目状の構造をとって直接連絡している像が観察された。ことから、分泌時の腺腔側膜での顕著なアクチン細胞骨格の構造変化はTJを介して側方膜の細胞骨格系にも強い影響を与え、傍細胞輸送経路の透過性が亢進する可能性が示された。3)腺腔側膜に限局して存在していると考えられていたAquapolin-5が、精製したラット耳下腺の分泌顆粒膜にも明らかに局在することを、Western blottingによる詳細な検証とともに、凍結超薄免疫電顕法により超微形態的な手法を用いて、分泌顆粒膜上での局在をはじめて証明した。Aquapolin-5によるチャンネルの阻害が、分泌顆粒の膨化と崩壊を引き起こすことから、分泌顆粒の浸透圧調節機構に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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