研究概要 |
平成14年度は,舌下腺を中心に,加齢に伴う組織構造と細胞構成についての経時的な検討を進めてきた.生後8ヶ月から生後2年4ヶ月までのWistar系ラット雄を用い、PAS(過ヨウ素-シッフ反応)およびアルシアンブルー染色,タンパク質検出のためのナフトール黄S反応を行い,粘液細胞と漿液細胞における分泌物質の性状を組織化学的に検討した.また,老化指標の1つであるアミロイド蛋白の沈着についてコンゴーレッド染色を施し,出現時期および出現部位について光顕,偏光,蛍光観察を行った.さらに,細胞死の発現時期および経時的変化について検討するため,TUNEL法を行った.これらの内容は,2002年,米国シアトルで開催された第6回日米合同組織細胞化学会議にて発表した. その結果,舌下腺の湿重量は年齢とともに減少し、生後2年4ヶ月では、生後8ヶ月に比べ約1/2にまで減少していたこと、コンゴーレッド染色によるアミロイド沈着は、生後1年6ヶ月以降の舌下腺小葉間結合組織や腺房細胞基底膜周囲で沈着がみられたこと,さらに、アポトーシス検索のためのTUNEL法から、生後2年以降のラット舌下腺でTUNEL陽性細胞核がみられたことが明らかとなった. このことは、ラット舌下腺組織は加齢とともに減少し、小葉間結合組織や腺房細胞基底膜周囲にアミロイドが沈着し、アポトーシス様の細胞死が生じることを示唆している。 次年度もこれらの項目についてさらなる詳細な検討を続けるとともに,電顕を用いた微細構造学的な精査を行っていく予定である.
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