研究概要 |
DEC2は構造的にhairy, Hes, Heyに近縁の塩基性ドメイン-ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)型転写因子である。DEC2は他のbHLH型転写因子と同様に組織分化の制御に関わっていると考えられる。また、視交叉上核およびその他の組織において、DEC2 mRNAの発現は日内リズムを示すことからDEC2は時計遺伝子としても機能していると考えられる。今回、DEC2とMyoDとの相互作用について、また、DEC2遺伝子の発現調節について解析を行った。 1)DEC2とMyoDとの相互作用 DEC2と相互作用する蛋白を探索したところMyoDがDEC2と結合することがGST pull down法により確認された。MyoDはE12またはE47とヘテロダイマーを形成してE-boxに結合し、転写活性化因子として機能する。DEC2はMyoDと結合しMyoD/E47のE-boxへの結合を阻害することで、MyoDの転写活性化作用を抑制することを明らかにした。 2)DEC2遺伝子の発現調節 分子時計のマスター因子であるClock/BmalはDEC2 mRNAの発現量を増加させた。一方、Clock変異マウスの腎臓におけるDEC2 mRNA発現量は野生型と比べ著しく減少しており、DEC2 mRNAの日内リズムも消失していた。マウスDEC2遺伝子の上流領域を用いたプロモーター解析によりDEC2遺伝子上流領域に存在する2つのE-BoxがClock/Bmalによる誘導に関係していると考えられた。また、DEC2はDEC2自身のプロモーター活性を抑制した。これらの結果から、DEC2の発現はClock/Bmalにより正に調節され、DEC2自身により負に調節されていると考えられた。
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