研究概要 |
ミクログリア/マクロファージの産生分泌するNMDA受容体を介したシグナリング増強因子の同定を行うために以下の実験を行った。 (1)ミクログリア/マクロファージの培養上清の回収:まず、成熟ラット(8週齢)から調整した浸潤性腹腔マクロファージならびに新生仔ラット(3日齢)の大脳皮質より調整した初代培養ミクログリアを無血清培地において4日間の培養を行い、培養上清(MCM)を回収した。回収したMCMを1日間透析した。 (2)NMDA受容体を介したシグナリング増強因子の部分精製:次に、イオン交換クロマトグラフィー(MonoQ)を用いてタンパク質の分離を行った結果、6つのピークが認められた(フラクション7,18,24,30,33,36)。次に、それぞれの分画について10%のMCMを用いて電気生理学的にNMDA増強活性を調べた。具体的には大脳皮質スライス標本を用い、白質の電気刺激により誘発されるNMDA受容体を介したシナプス電位の増強作用を指標とした。その結果、フラクション#24に最も強いNMDA増強活性が認められた。さらに、それぞれの分画についてSDS-PAGEを用いて展開し、PVDF膜に転写した。CBB染色後を行うとフラクション#24には他のフラクションには認められない分子量約70kDaのタンパク質バンドが検出された。 (3)N-末アミノ酸配列の解析:このタンパク質バンドを切り出し、N-末アミノ酸配列をシークエンサーでの解析を試みたがN-末の化学修飾のため正確なN-末アミノ酸配列は決定できなかった。 現在は部分精製したMCMを用いてNMDA受容体を介したシグナリング増強メカニズムについて電気生理学的解析を行っている。
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