研究概要 |
破骨細胞におけるアネキシンの局在 マウス骨髄細胞をSephadex G-10カラムに通してストローマ細胞を除いた培養系に、RANKL+M-CSFを添加して破骨細胞を形成させた。培養3日後に単核の酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)活性染色陽性の破骨細胞が出現し、5日以降には多核の破骨細胞が多数出現する。破骨細胞にアネキシン2,4,5が発現しているかを調べるため、特異抗体を用いて免疫染色を行った。アネキシン2,4,5ともに単核破骨細胞にも多核破骨細胞にも存在し、細胞全体に広く染色された。ある種の細胞ではアネキシンが細胞膜上のラフトに存在することが報告されている。破骨細胞における局在を調べるため、破骨細胞を1%Triton X-100で可溶化後、ショ糖密度勾配遠心法で分画を行った。それぞれの画分をTCA沈澱で濃縮し、電気泳動を行い、特異抗体でウェスタンブロッティングを行った。その結果、アネキシン2と4はTriton不溶性の軽い画分には存在せず、破骨細胞においてはラフト以外のところに局在することがあきらかになった。 アネキシンの発現パターンの解析 破骨細胞におけるアネキシンの機能を類推するために、G-10カラムを通したマウス骨髄細胞を(1)M-CSF単独添加群(2)M-CSF,RANKL添加群(3)M-CSF,IL-1添加群(4)M-CSF,TNF alpha添加群の4群に分け5日間培養した。(2)(4)群はTRAP陽性破骨細胞が形成されるが、(1)および(3)群は破骨細胞は形成されない。4群の細胞をそれぞれ回収し、ウェスタンブロッティング法でbeta-actinをコントロールとして、アネキシンの発現量を比較した。その結果、アネキシンはM-CSF単独添加の場合でも発現が認められ、特に破骨細胞特異的に発現しているわけではないことが明らかになった。
|