研究課題/領域番号 |
14571772
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 詔子 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00048399)
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研究分担者 |
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80326694)
客本 斉子 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (90118274)
加茂 政晴 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (40214564)
高岡 裕 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (20332281)
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キーワード | アポトーシス / HSP90 / Fas / TNF-α / ゲルダナマイシン / 唾液腺細胞 / カスパーゼ |
研究概要 |
ヒト顎下腺腺癌細胞(HSG)を抗Fas抗体で刺激した際に誘導されるアポトーシスのシグナル伝達系についてこれまで検討してきたが、本研究では、初めにTNFαで抗Fas抗体誘導アポトーシスが増強される機構について検討し、続いて分子シャペロンである熱ショックタンパク(HSPs)のアポトーシス誘導への関与を検討した。HSG細胞を10ng/mlのTNFαで処理しNFκBの細胞内局在を調べたところ、処理15分でNFκBは細胞質から核へと移行し、一方NFκBから解離したIκBは検出されなかった。アポトーシス関連遺伝子の発現をRT-PCR法ならびにウエスタンブロット法で調べたところ、TNFα処理後1-3時間でカスパーゼ3やFasのmRNAレベルが上昇し、続いて3-24時間でタンパクレベルも上昇した。これらの結果から、TNFαはNFκBを活性化することによりFasやカスパーゼ3の発現増加を介してFasアポトーシス誘導に対する感受性を増強させているものと考えられた。つきにFas誘導アポトーシスへのHSP90の関与を調べるため、HSP90の特異的阻害剤であるゲルダナマイシン(GDM)を用いて検討を行った。GDM処理はHSG細胞に単独でアポトーシスを誘導したが、24時間後では死細胞は約20%にとどまり、90%以上の細胞が死に至るには約96時間が必要とされた。一方、GDMを2時間前処理したHSG細胞を抗Fas抗体で処理すると24時間後には80-90%の細胞がアポトーシスを起した。この結果からHSP90のFasアポトーシス誘導系への関与が示された。また、RT-PCR解析からHSP90αならびにβmRNAの発現はGDM処理により有意に増加した。そこで二次元電気泳動-TOF-MS解析によりHSP90をはじめとしたHSPsの発現パターンの解析を行ったところ、GDM処理によりHSP90のみならずHSP70ファミリーの顕著な増加が見られた。これらの結果は、HSP90の不足をHSP70ファミリーが補うことが可能であることを示すもので、シャペロン作用発現におけるこれら分子の相補性を示唆するものと考えられた。
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