研究概要 |
サイクリックAMP (cAMP)は分泌小胞膜モノアミン輸送を抑制的に,サイクリックGMP (cGMP)は分泌小胞膜モノアミン輸送を促進的に調節すること,さらにはcAMP, cGMPはともにテトラヒドロビオプテリン(BH4;モノアミン生合成,および一酸化窒素生合成を調節する補酵素)の原形質膜輸送を調節することを発見し,これらの膜輸送機構について研究を行ってきた。 1.BH4膜輸送:cGMP, cAMPの調節作用の作用点を明らかにするには,BH4膜輸送に関与する輸送担体を捕捉する必要がある。BH4外向輸送はレセルピンによって阻害されるので,分泌小胞膜モノアミン輸送担体ファミリーに属する輸送担体が関与することが判明している。さらにBH4膜輸送に対する阻害剤の検討を行った結果,aquaporin(AQP)の阻害剤によってBH4外向輸送(細胞内から細胞外液への輸送)が阻害され(第11回サイトカイン・ネオプテリン研究会,2004年7月;Pteridines誌(in press)にて発表),BH4がAQPを介して輸送される可能性が新たに示唆された。現在,AQP cDNA変異体の作製を行っている。 一方,BH4内向輸送(細胞外液から細胞内への輸送)は腸管上皮細胞系の細胞において他の組織の細胞に比べて非常に速やかに起きていることが明らかになった。これらの腸管上皮細胞において特徴的に発現している遺伝子/mRNAを検索し,BH4内向輸送に関与する輸送担体遺伝子/蛋白質を捕捉しようとしている。 2.分泌小胞膜モノアミン輸送担体(VMAT)の活性調節:cGMP, cAMPによる調節作用はVMAT活性調節蛋白質(VMTRP)を介して起きると考えられる。VMATがVMTRPから作用を受ける部位を検討するためにVMAT cDNAの変異体を作製しているところである。
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