研究概要 |
イオン輸送担体(Na/K/2C1共輸送体,NKCC1)の機能はN-末端部分の複数のリン酸化部位のうち,^<208>Thrのリン酸化によって調節される可能性を明らかにしてきた。この結果は遺伝子の変異部位をピンポイントに絞るための重要な結果である。よって,イオン輸送担体の機能調節を分子レベルでの検討に進めることができた。イオン輸送担体の機能調節部分を変異させ,宿主細胞に過剰発現させ,機能の変化を調べるために蛋白質翻訳部分のクローニングに取り組んだ。 ラット耳下腺からtotal RNAsを採取し,高活性逆転写酵素で全長cDNAsを作った。これらのcDNAsを鋳型にし,目的とするイオン輸送担体の全長cDNAsを作成した。塩基配列の5'側にCACCの4塩基を付加した読み出し部分(ATG---)のフォワードプライマーおよびストップコドンを含むリバースプライマーを用いて,3700bpのイオン輸送担体のORF部分を高活性,高精度のポリメラーゼを用いて増幅した。増幅産物が電気泳動で単一シグナルであること,およびDNAシークエンサーで正しい塩基配列であることを確認した。 TOPOクロナーゼ反応でイオン輸送担体のcDNAを含むTOPOpENTRベクター作成し,コンピテント細胞へ,ヒートショックでトランスフェクトした。目的の遺伝子が導入されたE.coliのコロニーをPCRで検索し,トランスフェクトされたE.coliの3つのコロニーを得た。液体培地で培養,増殖させ,菌体からプラスミドを抽出,精製し,組み込まれたイオン輸送担体の塩基配列の確認を行っている。5'部分に非常にCGコンテントの高い部分があり,慎重に配列を検討中である。
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