研究概要 |
本研究課題についての当初2年間の研究から、 1.破骨細胞の融合過程で細胞突起に存在するOPN, CD44およびβ3 integrinが重要な役割を果たしている。 2.骨吸収促進因子(PTH, LPS)存在下で培養した頭蓋冠では、骨吸収窩の辺縁部にOPN,β3 integrinおよびActinの強い染色が認められるが、骨粗鬆症などの治療薬であるBisphosphonate共存下では、骨吸収窩は小さく浅くなり、OPN,β3 integrinおよびActinの染色性が顕著に低下する。 という結果が得られた。 今年度はこれらの結果をもとにして、破骨細胞形成系および頭蓋冠組織培養系の2種の実験系を用いて共焦点レーザー顕微鏡による免疫組織学的検討を行うことにより以下の新知見を得た。 1.両方の培養系においてBisphosphonateにより、破骨細胞の融合阻害、空胞変性、形成抑制が確認された。 2.破骨細胞の細胞突起伸長過程において、細胞周辺部にsmall GTPaseであるRac, Cdc42の局在が認められたが、その発現はBisphosphonateにより顕著に抑制された。 3.細胞周辺部においてsmall GTPaseとOPNが共局在することから、OPNが細胞膜直下の細胞内情報伝達の場に存在し、重要な役割を果たす可能性があることが示された。 4.OPN遺伝子欠損マウス由来の頭蓋冠では骨吸収促進因子添加による骨吸収が顕著に低下し、さらに骨吸収窩の形態学的特徴が無添加群と同様であることから、異常に亢進されている骨吸収反応でOPNが関与することが示された。 5.骨吸収促進因子により形成された吸収窩には骨芽細胞の形質をもつ新たな細胞群の増殖が観察されたことから、この実験系は骨代謝カップリング研究にも有用であることが示された。
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