<目的>歯周病原菌の一種であるPorphyromonas gingivalis (P.g.)のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は、マンガンと鉄の何れの金属でも活性を持ち、含有する金属によってそれに応じた化学的性質を示す特徴がある。本研究は、金属配位近傍のアミノ酸残基の役割を推測し部位特異的変異酵素を作製して金属選択性に関わる構造を検討する一方、分子進化の理論をin vitroで再現して金属特異的SODに変化させた酵素を得ることを最終目的とした。 <方法>1-立体構造の結果からFe-特異的SODに特徴的なアミノ酸を推定し、Kunkelの方法でP.g SODのGly 155Thr変異酵素を得た。 2-Stemmerらの開発したDNAシャフリングに従い、SOD欠損大腸菌に入れてライブラリーとして、活性酸素を発生させながら活性のより高い酵素をスクリーニングして選択した。 <結果>P.g.SODのThr155の1残基変異酵素でFeに対する特異性が高くなることを、活性の金属依存性、吸収スペクトルおよびEPRスペクトルにより確認した。ライブラリー作製に適したSOD欠損菌株を検討した結果、QC1799が他の株より形質転換効率が高かった。現在、シャフリングの条件検討、スクリーニングのために添加するパラコートの量など、細部の条件を検討中である。
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